エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「はい、ぜひ飲んでください。それから、これを堂浦先生に……」

やっぱり、先生にも渡したい。だけど、外科病棟まで行くのは迷惑だから、先輩に頼んでみよう。

兄弟だし、先輩なら先生に会うことも多いはず……。

もう一本、同じものを取り出すと、持っていた小さな付箋にメモを書く。

スケジュール帳に使っているもので、ウサギの絵がついていて少し恥ずかしい。だけど、せめてメッセージを伝えたかった。

といっても、“無理をならさないでください”だけ。先生には感謝でいっぱいだから、なにかを残したかった。

「兄貴に? 分かった……。必ず渡しておくよ」

さっきまで、先輩は笑顔だったのに、途端に真顔になっている。もしかして、頼んだことが迷惑だったとか……?

でも先輩は、学生の頃から後輩の面倒見がよくて、頼みごとを嫌がる人ではない。

腑に落ちないながらも、入院中の出来事を思い出しハッとした。

そういえば、先輩がお見舞いにきてくれたとき、先生の回診と重なり、二人ともお互い距離があった……。

あのとき、あまり仲がよくないのかなと思いつつ、それほど気に留めていなかったけれど。

もしかして、二人は仲が悪いーー?
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