エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「えっと……」

先生のやり取りに、目を奪われちゃった……。誰に対しても、優しくて穏やかで、包み込むような感じなんだな。

「私は……、このスカイブルージュースを」

名前からして、海に合いそう。今日は本当に天気がよくて爽やかだから、この名前が目を引いた。

「小松さんらしいな」

そう言った先生は、私のジュースと自分のアイスコーヒーを頼んだ。

店員さんは手際よく用意をしてくれ、カップを差し出してくれた。それを私が手に取るより早く、先生が受け取る。

「ありがとうございました。それにしても、先生が女性連れなんて、初めてですね」

茶目っ気ある店員さんの話し方に、先生は笑みだけ見せると、会釈をして私を促した。

女性連れが初めて……。それはたまたまこのお店がそうだっただけ、なんだろうけれど、私にはとても嬉しかった。

「海の近くまで行こうか。車は、あそこに泊めていて大丈夫だから」

「そうなんですね。あの、ジュース持ちます……」

手を差し伸ばすと、先生は自分の手を少し高く上げた。

「これくらい、いいよ」

「すみません。ありがとうございます……」

先生に気を遣われて、申し訳ない気持ちになる。だけど、同じくらい優しさにドキドキしていた。
< 69 / 248 >

この作品をシェア

pagetop