エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
もう少し、私が恋愛上手だったら、上手に切り返しができたのかもしれないけど……。

先生は、私と付き合っていって後悔しないかな。それとも、いつかはフラれちゃうとか?

なんて、始まったばかりの先生との関係を、後ろ向きに考える自分が嫌になる。

少し落ち込み気味になると、先生に優しく頭を叩かれた。

「きみは、もう少し自信を持つべきだ。それは、最初の頃から思っていたけど」

「はい。でも、先生のことに関しては、夢みたいで……」

先生に触れられると、ドキドキする……。抱きしめられた感覚も蘇り、顔が熱くなってきた。

そんな私に、先生は優しく微笑んだ。

「夢なんかじゃない。それからきみのことを、久美と呼んでいいだろ?」

「も、もちろんです。さっきも呼ばれてましたよね?」

改めて聞かれると、恥ずかしいな……。

「そう呼びたかったから。それに隆斗──。あいつが、きみを久美ちゃんと呼ぶだろう? あの呼び方が、どうしても気になる」

そう言った先生に、私はふふっと微笑んでいた。なぜなら、最後の言葉を言う頃には、先生はどこか照れくさそうだったから。

もしかして……ううん、きっと先輩にヤキモチを妬いている。そんな先生が垣間見れて、柔らかな気持ちになっていた。
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