エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「ん……」

不意打ちに驚きつつも、彼のキスを受け入れる。唇が触れた瞬間に、先生の舌が私の舌を絡めてきて、思わず声が出てしまった。

頭がクラクラするほどに濃厚なキスを、どれくらい交わしているのだろう。

部屋には、少し乱れた私の呼吸と、舌を絡め合う音が響いている……。


ようやく唇が離れたときには、すっかり頭がボーッとしていた。だけど先生は、余裕ある表情で笑みを向けている。

「次に会うときまで、久美の唇の感触を忘れないようにする」

そんなことを言われたら、先生ともっともっと一緒にいたいと思ってしまう。それに、たくさん会いたいとも……。

でも、そんなワガママは言えない。言えないけど、今なら少しくらいはいいかな……。

「私は、忘れちゃうかもです……」

冷静になれば、恥ずかしいことを言ったと思う。でも、心のなかが先生でいっぱいで、彼以外のことを考えられなくなっていた。

「忘れる? まだ、足りなかったかな」

優しく言った先生は、再び唇を塞ぐ。痛いくらいに私を抱きしめて、時間が経つのを忘れるほどにキスを交わしてくれた……。
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