エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「自立した女性……?」

「うん。医者って忙しい仕事でしょ? だから、会えなくて寂しいとか言う女性だと、うまく付き合えないんだって」

「そうなんだ……」

綾子の言うことももっともで、先生は次にいつ会えるか分からないと言っていた。

こうしている今も、診察や急患対応、それに手術をしているかもしれない。先生がどれだけ日々の仕事に追われているかは、私には分かりきっていないのは事実。

そこに会いたいとか、自分の気持ちをぶつけてしまうと、先生の重荷になっちゃうんだ……。

「私は、好きな人には甘えたいタイプだから、ドクターは無理だな」

綾子は肩をすくめると、「頑張ってね」と私に声をかけ化粧室を出た。

「自立した女性……か」

私は病院に顔を出すこともあるし、そこであまり嬉しそうな顔をしないほうがいいかな……。

先生の前では、“会えなくても寂しくない”と、自立した女性を見せたほうがいいんだ。

鏡に映った自分を見つめて、大きく頷いた。先生に支えてもらえたのだから、今度は私が彼を支えたい──。
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