エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「お疲れ様でした」

今日も仕事が終わり、明日は土曜日。先週、先生から電話をもらって以来、お互い連絡はしていない。

寂しいし、会いたい気持ちは募るばかり……。でも、それを言ってしまっては、先生の邪魔になってしまう。

明日からの土日は、なにをして過ごそうかな。今までずっと一人だったのに、先生と恋人になれたら、一人で過ごす週末が色あせて見えてしまった。

また映画でも観に行こうかな……。そんなことを考えながらビルを出たとき、背後から声をかけられた。

「久美」

その声は先生で、私は驚いて振り向く。どうしてここに先生がいるの⁉︎

「先生、今日はどうされたんですか?」

私服姿だから、勤務終わりなのかな。それとも、休みだった?

どちらにしても、偶然会えて嬉しくなる。だけど、それを態度に出すと先生には重荷になるかもしれない、

高鳴る胸を抑えて、平静を装った。

「今日は、外来で終わりだったんだ。帰宅途中なんだけど、もしかしてきみに会えるかと思って、車を停めてみた」
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