エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「でも……。いいんですか? お疲れなのに」

明日も仕事だと言っていたのに、私がお邪魔していいのかな。遠慮がちに聞いた私に、先生は優しく微笑んだ。

「きみといると、癒されるから。言ったろう? 久美の優しさを独り占めしたいと」

「先生……」

そこまで言ってもらえて、心が温かくなってくる。先生には、素直に会いたいと言っていいんだ……。

「行こう。久美と、早く二人きりになりたい」

「はい……」

ありのままの自分でいいという言葉は、私自身が受け止められたみたいで気持ちが温かくなる。

先生は私の手を握ったまま、ゆっくりと歩き出す。すぐ先にパーキングがあり、彼の車はそこに停まっていた。

車に乗り、着いた場所は高級タワーマンション。オフィス街から、車で十分ほどの場所にある。

ソンシリティ病院からも車で十分程度。きっと通勤も考えて、このマンションに住んでいるんだろうな……。

その最上階である五十三階が、彼の部屋だということで、私はエントランスですでに緊張でいっぱいだった。
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