エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「お帰りなさいませ、堂浦様」

自動ドアを抜けるとすぐに、四十代前半くらいの男性が丁寧に出迎えてくれた。どうやら、コンシェルジュらしく、驚いてしまった。

カウンターがあり、その背後にはまるで金庫のようなものがズラリと並んでいる。

なんだろうと不思議に思っていると、その男性が『53』と書かれた場所を鍵で開け、中から郵便物を取り出した。

「堂浦様、本日分でございます」

「ありがとう」

手渡された郵便物を受け取った先生は、私の背を優しく押しエレベーターへ促した。

四基あるエレベーターのうち、一番手前のものは高層階のみ止まるもの。エレベーターに区別があることにも、びっくりする。

「エントランスには、ソファーとかテーブルもあって、まるでホテルみたいですね……」

先生の部屋にお邪魔するだけでも緊張するのに、さらにこんな高級なマンションだなんて……。

自分には場違いな気がして、萎縮しそうになる。そんなことを考えている間にも、エレベーターは五十三階に着き、先生のあとに続いて降りた。
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