エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
床は大理石で、歩くごとに靴音が響く。正面に玄関が一つあるのみで、最上階は先生の部屋しかないみたい。

カードキーをかざして鍵を開けた先生は、私に中へ入るように促した。

「どうぞ」

「は、はい……。お邪魔します」

緊張しながら玄関へ入ると、ダウンライトが反応して点灯する。すると同時に、廊下の電気も点いてびっくりした。

長い廊下の先に、リビングがあるみたい……。

「どうかした? 遠慮せず上がって」

靴を脱いだ先生は、私を怪訝そうに見る。だけど、不安な気持ちに駆られた私は、心細い視線を彼に向けた。

「本当にいいんですか……? 先生のお部屋だと思うと、急に緊張してしまって……」

それも、こんな高級なマンションだし……。コンシェルジュなんて、漫画で見たことはあっても、現実で見ることなんてない。

改めて、先生が大病院の御曹司で、エリート外科医なんだと実感した。

すると先生は、クスッと優しく笑った。

「今さら、きみを帰すつもりはない。久美、俺はどれだけきみに会いたかったか」

「せ、先生……?」

私の頬を優しく包み込んだ先生は、ゆっくりと顔を近づけてくる。そして、彼の唇が重なった。
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