たった独り事
「息をするということは、どういうことなんだろうね?」
先輩はときどき、急に質問をなげかけることがある。
それは答えを求めている時もあるし、そうではない時もある。
「生命を繋ぐこと、では不十分ですか?」
そんな答えではないと知りつつ、相槌代わりに質問をする。
「そうではないことは分かっているだろう?」
「…この世に存在すること」
先輩は私の目をじっと見つめる。
「どうしてそう思う?」
「息をしていることしか考えられないくらい苦しいとき、息をしていることだけが、自分をこの世に繋ぎとめていて、息をしているから、私はこの世に存在しているんだって、そう思うんです。」
「この呼吸が、私の存在証明だから」