たった独り事




「やはり君も、自分の存在について考えたことがあるんだね」


先輩が静かに言った。


「誰でも1度は考えるんじゃないですか」


「では、呼吸が止まったら────」


先輩は外の方を見て、


「君の存在はなくなる、ということなのかな?」


「…そういうことになりますね」


特段なんの感情も浮かばなかった。それもそうだ。だって私が私の存在をそう定義したのだ。私の存在は、息をしているかどうかで決まると。



この呼吸が止まれば、私もそれでおしまいなのだ。




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