たった独り事
「僕の話をしてもいいかな?」
先輩は私の返事を待たず話し出す。
「前に、僕の存在は誰かに仮定されることによって成り立つという話をしたね?」
あの時のどこか諦めたような笑顔を浮かべて、先輩は続ける。
「この存在証明はとても楽だよ。誰かに必要とされていれば、認識されていれば、僕は僕として存在することが出来る。」
「逆に、誰からも忘れ去られて、必要とされなくなれば、僕という人間は存在しないということだ。誰からも必要とされないというのは、とてもつらいことだね?どんなに強がったって人は1人では生きていけないようになっているのだから。」
先輩は私を試すように見つめる。
「その証明だと、呼吸が止まっても『存在』し続けることができますね?」