たった独り事
有り得ない話
「先輩。これ。」
私が差し出したのは一冊の本。
「ああ、ありがとう。」
先輩は受け取るとすぐに本を開く。
こうなってしまえばしばらくは口を開かないだろう。私は1人で時間を潰すしかない。
先輩と私は本の趣味が似ている。厳密に言えば嫌いな言葉の種類が似ているのだ。
なんだろうな、恐らく私はあの世界の人達と同じ言葉を使うのが苦手なのだ。いや、多分怖いんだと思う。
私がかしこまった物言いをするのは、私が天才だからでも、そういった言葉が好きだからというわけでもない。 どちらかといえばしっくりくるし安心するが、女子高生らしい言葉遣いに憧れない訳でもない。