届かぬ想い
「そいやさっき、必要かどうかって聞かれたけど、ただの彼女ならいらないね」
ただの彼女以外に彼女ってあんのかよ?
「キモチイーだけとか、そういうんじゃなくてもっと根っこの部分」
根っこ?ますますわからなくなる俺に、
「朔也はまだそんな時期じゃないだけだと思う」
ジュンのなんとも上から目線な言葉と、大人な発言に不機嫌な様子を隠しもせずにビールを煽った。
こういうのが子供っぽいんだってことはわかってる。
「優太だっているんだろ?」
「んーオレはそういうんじゃないかなぁ」
その時俺の脳裏に浮かんだのはあの時の二人の姿。
優太の彼女はアヤノなんだよな?
だけどその時、その言葉を俺が口にすることはなかった。