届かぬ想い
4月7日 キャンパスで
桜の花の散り始めた大学のキャンパス。

人目を引く華やかな容姿の女が数人の男に囲まれて話をしている。


「よくやるよな、あんなに男引き連れて」


吐くように言った俺に、隣にいた純哉も続けて言った。


「オレ、あーゆーのムリ」


さも苦手そうに眉間にしわを寄せながら。


「だろうな、おまえ清楚な美人系専門だもんな」

「ハハ 専門ってなんだよ」


涼しげな眼差しはクールな雰囲気をだしている。

隣にいるこの男は「堂地純哉」オレと同郷と知ってから付き合いだして今に至る。


「ほら、昨日のあの子なんだっけ?結局持ち帰ったんだろ?」

「そりゃね、どうぞって差し出されたら普通」


差し出されたらって、おまえね……


確かにコイツが自分から攻めてるのを見たことがない。

それなのに近づいてくる女は多くて、愛想を振りまいてるオレとは大違い。

まぁでも、女の好みが違うからこうやって一緒にいられるんだと思う。
< 2 / 79 >

この作品をシェア

pagetop