届かぬ想い
「…朔也は大事なモノは離しちゃダメだよ」
「そんなのねーし」
そして、また酒を飲む。
何度か繰り返したあと優太が、
「……アヤノが留学した」
「は?だって4月に大学入ったばかりだろ?」
「向こうで大学入り直したミタイ」
「みたいってお前は……」
アヤノと付き合ってたんじゃねーの?
って聞けなくて言葉に詰る。
「アヤノってさ。高校ん時にこんなオレを好きになってくれたんダヨネ」
あぁ、やっぱりそうか。
アヤノが優太を見る目は違ってた。
付き合ってるって聞く前から、どこか違って見えてた。
「オレそういうの当時よくわかんなくて断ったんだけど、大学でも一緒になって。試しでいいからってアヤノに言われて……」
きっとアヤノはその時から9月に行くことを決めてたはず。
だからこそ、試しなのか?