届かぬ想い


「…朔也は大事なモノは離しちゃダメだよ」

「そんなのねーし」


そして、また酒を飲む。

何度か繰り返したあと優太が、


「……アヤノが留学した」

「は?だって4月に大学入ったばかりだろ?」

「向こうで大学入り直したミタイ」

「みたいってお前は……」


アヤノと付き合ってたんじゃねーの?
って聞けなくて言葉に詰る。


「アヤノってさ。高校ん時にこんなオレを好きになってくれたんダヨネ」


あぁ、やっぱりそうか。

アヤノが優太を見る目は違ってた。

付き合ってるって聞く前から、どこか違って見えてた。


「オレそういうの当時よくわかんなくて断ったんだけど、大学でも一緒になって。試しでいいからってアヤノに言われて……」


きっとアヤノはその時から9月に行くことを決めてたはず。

だからこそ、試しなのか?
< 28 / 79 >

この作品をシェア

pagetop