届かぬ想い


「はい、これに登録して」


目の前に差し出される携帯電話。

とまどっている俺に、


「もしかして、仕事中?」

「…あぁ」

「じゃあ、早く」




早くって、



俺はそのままアヤノにそれを返すと



アドレスと番号を口頭で伝えた。




「それじゃあね、アヤノちゃん」



覚えられるはずなんてない。


一回しか言ってない番号とアドレスを。



俺は休憩時間を終えてそのまま仕事場に戻った。
< 47 / 79 >

この作品をシェア

pagetop