届かぬ想い
いただこうと思ったのは事実で、そのまま何度も口づけていると、


「ちょっと、待っ――――」


なんだよ。邪魔すんな。

やっとこの腕に収まったアヤノを感じさせて欲しいだけ。


「な、に?」


不機嫌にそう聞けば、


「何じゃないっ、どういうわけ?」

「ミレイさ、頭悪い?」

「はぁ?失礼ね、そんな言い方……」


さっきまでの可愛いアヤノはどこへやら、すっかりいつもに戻ってる。

そんなアヤノに悪態をつく俺。


「俺の腕の中にかわいく収まっといて、なんなわけ?」

「か、神代くんが、…何も言わないから」


あぁ、そうか

俺。肝心なこと言ってない。


「離さない」

「は?」

「ミレイ、」


優しく名前を呼んでやれば、顔が急に赤くなっていくアヤノ。


「ずっと……そばにいて?」


今まで伝えられなかった分、俺はアヤノの目を見つめながら言う。


「ミレイ、返事は?」

「……はい」


やっと―――捕まえた。
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