届かぬ想い
髪に

瞼に

頬に

……そして唇に


いままでの想いがすべて伝わるようにと口付ける。


「……ずいぶんと甘いのね」

「ミレイだからだよ」

「、っ――――」


アヤノだから、こんな幸せを感じられる。


アヤノ以外ではこんな気持ちを持つこともなかっただろう。


「やっぱり、神代くんて女の扱い、うまい…」

「ミレイだからだよ」

「いつも女の子に囲まれてたわ」

「特別な子なんて居なかったよ」

「……でも、」

「誰かさんが大学ん時に俺に文句言って以来、ずっとここに住み着いてるからね」


そう言ってやれば驚いた顔をしてみるアヤノ。

今思えばそうだ。

あの時から気になってたのはアヤノで

手に入れたかったのも……


「そんな…」

「だから、覚悟して」


10年分の想い、受け止めて――――
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