届かぬ想い
「神代くん」
「はい」
「出来たら、娘は近くにおいておきたいんだが、」
「はい。今は仙台でイタリアンレストランのオーナーシェフをしておりますが、そこは父の店ですので近々東京での出店を計画しております。ですので、そちらが決まりましたらまたご挨拶にと思っています」
「え?」
この話はアヤノにはもちろん言ってない。
実際はまだ計画段階で、出店は30の年にする予定だった。
「美麗と、仲良くしてやってくれ。わがまま娘だけれどな。」
その瞬間、アヤノと顔を見合わせた。
「まだ、付き合いを許すだけ、だからな」
「はい、ありがとうございます」
「パパ……」
「お忙しいところお時間ありがとうございました」
「せっかくのお休みに娘に付き合わせて申し訳ないが、」
「いえ、」
「美麗は神代くんに愛想つかされないようにな」
「もうっ、」