届かぬ想い
「神代くん?私も一緒に行ったらダメ?」
「ダメ。」
「どうし――――」
「お父様と約束したからね。結婚するまできちんとご両親と暮らすんだよ?」
「だって、それじゃ会えないじゃない」
「ミレイ、俺たち何年会ってなかった?」
「…え、三年ぐらいかしら?」
「そう、この先何年一緒に暮らすと思う?」
「…50年とか60年、とか?」
「ご両親とはこの先何年一緒にいられると思う?」
「………。」
「親孝行しておかないとね?」
優しくそう言えば、やっと理解したらしいアヤノが頷く。
「わかったわよ」
「そのかわり、毎月会いにきて?ミレイの都合のいい時でいいから」
今度はパァっと嬉しそうな顔で聞いてくる。
「月に一度だけ?」
「うん、」
「それなら、数日滞在してもいいかしら?」
「休めないから夜しか一緒にいられないけど」
アヤノが家で待っていてくれるなら、飛んで帰るよ。