届かぬ想い
家に帰ると、アヤノが出迎えてくれた。


「おつかれさま、おかえり」

「ただいま」


この期間で疑似新婚生活みたいなのを味わっていた。

朝起きると隣にアヤノがいて、家に帰るとアヤノがいる。


「こういうの、すごくいいね」

「そうね」

「でも、もう一人いたらもっと幸せかな?」


パパお帰りって迎えてくれるかわいい娘とか…


「え?」

「ミレイそっくりの女の子とか、」

「…朔也は気が早い」


想像しはじめたら止まらなくなって、


「そうかな?今すぐにでも欲しいけど?」

「すぐに授かるものじゃないわよ」

「ま、ね。」


授かるもなにも、まだ結婚だってしてない。

するとアヤノは何か考えるようにしてから


「…でも、私は朔也にそっくりの男の子だったらいいわ」

「はは、俺は嫌かも。」


だって、その子にやきもち焼きそうだ。
< 73 / 79 >

この作品をシェア

pagetop