届かぬ想い
恋焦がれる、なんてものは経験してこなかった。

今思えばあの涙の瞬間に恋に落ちてたのかもしれない。

気づかずにイタリアに行きそこで始めて自分の気持ちに気づくなんて

俺の恋愛遍歴なんて皆無に等しい。

だからうまくなんて出来ない。

アヤノとの始まりも突然だった。

こうなったのも運命だなんてそんな言葉では片付けられない。

けれど、心の中でずっと住み続けたアヤノがこの先も答えを教えてくれるだろう。


「ミレイ、俺に愛を教えてよ」

「はぁ?何、言って」

「一生をかけてじっくり」


ずっと俺だけに縛られて欲しいから。


「ねぇ朔也。それは教えるものじゃないわよ」

「それはイヤだってこと?」

「二人で作るもの、でしょう?与えるだけでも、与えられるだけでもなくてね。そこ、私が失敗したところだからこれからは間違わないわよ」

「……あぁ、そうだったね」


こんな俺との未来を考えてくれるアヤノにまた一つ教えられた。
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