君に花束を贈るとしたら、きっと××××を贈る。
咲き始め。
ずっと一緒にいよう。
そんな言葉を毎日言いあって、笑いあった。
けど、気づいたら毎日のように泣きあっていた。
なぁ。お前は幸せだったか?
俺ちゃんとお前の彼氏でいれたかな?
今、何してんだ?寝てるのか?寂しくて泣いてるのか?
雪花がいなくなったあの日、俺は花束を渡せなかった。


ガタンゴトン。ガタンゴトン。
桜が舞う季節。眠い中電車に乗り、俺は学校に向かう電車に乗っていた。
その時、俺の前にいるおっさんが息を乱しながら立っていた。
(なんだこのおっさん。具合悪いのか?)
だが理由はすぐにわかった。ただの痴漢だ。
痴漢をされてる女は肩がプルプルと震えながら立っていた。
その様子を見て、俺は無性に腹が立ちおっさんの腕を思いっきり掴んだ。
「おい。おっさん何してんだ。次の駅で降りろ。」
すると、おっさんは逃げるように別の車両に逃げ込んだ。
「あ。おい!待て!」
追いかけようとしたその時、女は足から崩れ落ちた。
「おい!あんた大丈夫か!?」
その女の顔はひどい顔色だった。すぐに次の駅で女を連れて降り、椅子に座らせた。
しばらくすると顔色は次第によくなった。
「ありがとうございます…。助かりました。」小さな声で女は言った。
「いや、別に」
俺は照れ臭くて下を向いていた。
「あの…。お礼をしたいので。」そう言って髪を耳にかけ、女は連絡先の書いてある紙を渡してきた。
その時ようやく顔をはっきり見た。真っ白な肌に長いまつげ、少し高い鼻、ほんのりピンク色をした唇を見たとき、言葉が出なかった。正直、この顔は痴漢されても仕方がないと思ってしまうくらい可愛かった。
「本当に大丈夫なんで…。お礼なんてされるようなことしてねーし。」
だが女は俺の手に紙を置き、
「お礼、させてください。ありがとうございました。失礼します。」
そう言って帰っていった。
俺は、学校など忘れており、紙をずっと眺めていた。その時俺の中で何かが咲いた気がした。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop