優しさ という名の色彩
僕の母親は 。

「こちら工事中でーす。向こうの道をお通り下さーい。」

その言葉に青ざめた。

そうだった。工事。よりによって。今日だけはこの道を避けたかった。どうしても。
そうは思ってもこの道を通らないと家に迎えないのは、きちんと、分かっていて、我慢するしかない。
後ろを振り返り、彼女が付いてきてるのを確認する。
彼女が何か言いたそうな表情をした。

「どうしたんですか?」
「あ…あの…。ちょっと、お手洗いに…
そこのコンビニ行ってきて良いですか??」

その道に入った途中、コンビニがある。
まだ家は先だし、仕方なかった。

「大丈夫です、待ってます」
「すいません」
「あ、荷物持ちますよ」
「ありがとうございます」

この嫌な場所から本当はすぐに離れたい。
橋にもたれる。
彼女が行ってからすぐだった。
目の前がぐるぐると回る。
あ。駄目だ。フラッシュバック。


“ままを殺したのは幸ちゃんだよ…?
幸ちゃん。幸ちゃん。ままの幸せを返して。
お前だけ…幸せになるな!”

首を絞められている感覚。
呼吸が苦しい。
頭も痛い。
周りがどうなってるかも分からなくなる。


“幸ちゃん。ままね、幸ちゃんを許さない。
バイバイ、幸ちゃん”











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