続*もう一度君にキスしたかった
電話の成り行きを見守ってかシンと静かだったオフィスに、敢えて元気よく声を響かせる。
「行ってきます! 今日は戻れないかもしれないです」
「大丈夫か?」
「平気、なんとかしてくる」
心配する伊崎にそう答え、早足で今度こそオフィスを出た。
慣れてる、とまではいかないが、こういったことはままあることだ。
よくあること。
たまたま、今日にそういう仕事が当たっただけ。
そう自分の中で唱えながら、なんとかモチベーションを保とうと試みた。
これから怒鳴られひたすら頭を下げに行くのだ、憂鬱には違いないが、なんとか自分を励まして背筋を伸ばし、前を見る。
頭を掠めたのは、朝比奈さんのことだった。