続*もう一度君にキスしたかった

そう言ってくれたことに、ほっと温かくなる。
肩の力が抜けて、今なら率直な言葉を聞ける気がした。


「……仕事しながらとか大変かな、とか。奥さんは専業主婦ですか? って、間宮さんに聞いちゃって……そしたら逆に、結婚考えてるのかと逆に質問される形になって、色々話してました」

「なるほど。僕とのことでそんなに一生懸命考えてくれてたんなら嬉しいよ」

「……朝比奈さんは、家にいて欲しい?」

「そうだね」


驚くほどきっぱりと彼は言いきったものだから、二の句が出なかった。


「でもそれは、あくまで僕ひとりの希望だから」

「え?」

「真帆は何も気にしなくていいよ。仕事のことも結婚のことも。真帆のペースで好きにしていなさい」


そんな、甘やかしていいの?
と聞き返したくなるような言葉だけれど、にっこり浮かんだ笑顔になぜだか油断できないものを感じる。


彼は私の頭を引き寄せ軽くキスをすると、そのままころんとソファの上に私を転がした。


「君をその気にさせるのが、僕の役目だしね」


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