続*もう一度君にキスしたかった
朝比奈さんと話をしたその後、何か策を考えるようなことを言っていたけれど、特に変化はなかった。
何か特別優しくなったり甘く口説かれたりということもなく、逆に冷たくなったりなどの駆け引きも全くない。
というか、優しいのも甘ったるいのもすっかり標準装備で、こっちが赤面疲れを起こすまで引かないので、わざとやって楽しんでるのだと私は確信している。
間もなく例年通り、クリスマス商戦から始まる超繁忙期に突入した。
いつも忙しい朝比奈さんだが、この時期ばかりはマネージャー業の方が忙しい。
だけど、そんなことで愚痴ってはいられない。
店舗に入っている販売員たちの方が、ずっと体力的にも精神的にもきついはずだから。
だから、朝比奈さんがマネージャーだった時も店舗に何かあればできる限りのことはしていたし、どんなに遅くなってもフォローに行ったりしていた。
当然、私もそれに倣っているのだが。
どんなに遅くても待っていてくれたり迎えに来てくれたり、食事まで用意してくれていたりで、申し訳なかったけれど遠慮なく甘えることしかできないくらい、私はいっぱいいっぱいだった。
一緒のベッドに眠っても、私は秒で熟睡してしまうから殆ど会話らしい会話もなくても、彼は毎日笑って迎えてくれた。
本当に感謝しかない。