続*もう一度君にキスしたかった

わかってはいる。
わかってはいるのだが……小さくなってびくびくしながらも謝りに行くと言う彼女は、誰の目にも反省していて、元々がとても真面目な子だとカナちゃんからも聞いている。


そう思うと、やっぱり最初に浮かんだのは、笑顔だった。
パン!と強く、彼女の腕を叩くと彼女はびっくりした様子で顔を上げた。


「大丈夫、ここからは私の仕事です。任せてください」

「でも……」

「だけど、原因と予防策は考えてください。ここで起きたミスは百貨店側にも当然迷惑がかかる。他の人も他人事だと思わずに。ミスは誰でもしてしまうものだけど、問題はそれを食い止められなかったことだと思います」


ここで、厳しい言葉を敢えて彼女だけでなくカナちゃんと他の販売員にも向けて言った。


「最初承った時のお客様への確認、熨斗紙の準備の時、梱包作業の時、それから発送時。そのいずれにも引っかからなかったってことは、チェックがおざなりになってる証拠です。今一度チェック体制を徹底してくださいね。西口さん、チェック体制確認して報告してください」


いい難いことほど、はっきりとゆっくりと澱みなく、全員を見渡して声にする。
ふと、その話方が朝比奈さんに似ていることに気が付いた。


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