続*もう一度君にキスしたかった
電車に揺られて小一時間ほど、土地勘のない場所で迷うのも嫌で、タクシーに乗って住所を伝え、連れていってもらう。
少し古びたイメージのマンションは、どことなく薄暗い印象を受けた。
空き室が多いのか、エントランスに並んだ郵便受けに名前は少ない。
その中のひとつに訪問するお客様の名前を確認すると、まだ時間が早いので通りの向いにある公園で時間を潰すことにした。
自動販売機で買ったアイスコーヒーを飲みながらベンチに座っていると、ここまでは緊張感に守られて颯爽と行動出来たというのにさすがに鬱々とした気分になってくる。
約束の六時まで、あと三十分。
遅れるわけにはいかないからと早めに来たけれど、この待ち時間で勢いが遮断されると余計なことを考え出してしまう。
あの電話の調子では、尋ねてもまず笑ってはいただけないだろう。
嫌な顔は当然だし、再び罵倒されるだろうかと思うと、もやもやとお腹の奥が澱んで来た。
……あー、やだ。インターフォン押すのがすごく怖くなってきた。
郵便受けの名前も、男性ひとりだけだったし、ご家族がいるのか一人住まいなのかもわからなかった。
少し古びたイメージのマンションは、どことなく薄暗い印象を受けた。
空き室が多いのか、エントランスに並んだ郵便受けに名前は少ない。
その中のひとつに訪問するお客様の名前を確認すると、まだ時間が早いので通りの向いにある公園で時間を潰すことにした。
自動販売機で買ったアイスコーヒーを飲みながらベンチに座っていると、ここまでは緊張感に守られて颯爽と行動出来たというのにさすがに鬱々とした気分になってくる。
約束の六時まで、あと三十分。
遅れるわけにはいかないからと早めに来たけれど、この待ち時間で勢いが遮断されると余計なことを考え出してしまう。
あの電話の調子では、尋ねてもまず笑ってはいただけないだろう。
嫌な顔は当然だし、再び罵倒されるだろうかと思うと、もやもやとお腹の奥が澱んで来た。
……あー、やだ。インターフォン押すのがすごく怖くなってきた。
郵便受けの名前も、男性ひとりだけだったし、ご家族がいるのか一人住まいなのかもわからなかった。