続*もう一度君にキスしたかった
私たち以外の誰かの足音がして、朝比奈さんの腕に促されエントランスを後にした。
私が時間を潰した公園に足を踏み入れ、既に人気のないそこで私はそれ以上何も話さずずびずびと鼻を鳴らして続けた。
もうすっかり暗いのか、と。
夜の空気と住宅街の灯りにふと気がついて、ものすごく後れ馳せながらの言葉を溢す。
「迎えに来てくれて、ありがとうございます」
「泣き止んだ?」
「涙は止まったんですけど、鼻水が」
どうしよう。
鼻がずるずるでとてもじゃないけど顔を上げられる状態じゃない。
それなのに、彼は非情なことを言う。
「見せて」
「え、やですよ鼻水だらけなんですてば」
「僕は気にしないよ」
「私が気にしますっ?」
反論と同時に、ハンカチを鼻に充てられごしごしと拭われた。