続*もう一度君にキスしたかった
「は、ハンカチがっ」
「洗濯すれば済むことでいちいち騒がない」
そういう問題ではなくて、ですね。
好きな人のハンカチを鼻水だらけにしてしまった、てことそのものが恥ずかしいんですが。
だけどなんだか、散々泣いたせいで頭がぼんやりとして、考えることも疲れてしまった。
ハンカチをありがたく鼻にあてつつ、ほっと脱力してつい、朝比奈さんの胸に凭れかかってしまう。
すると彼がふたたび私を正面から抱き締めると、きゅうっと力を込めた。
「……困るなあ」
「朝比奈さん?」
「自分が、上司として判断してるのか個人としてなのか、わからなくなる時がある」