続*もう一度君にキスしたかった
今年の誕生日は、特別なことは何もなかった。
天気だって薄く雲の張った、晴れとも曇りともつかない微妙なもので。
同僚がプレゼントと称して、自社商品のキャンディボックスをくれたり、学生の時からの友人がおめでとうのメッセージをくれていたのにそれどころじゃなくてまだ見れてもいなかったり。
いつもと変わらないどころか、クレーム処理で帰りも遅くなり、どっと疲れた一日だった。
ただ。
私にはもったいないくらいの、出来過ぎな彼が迎えに来てくれて、傍にいてくれる。
おめでとうのキスをくれる。
彼のマンションで、デリバリーで簡単に食事をして、彼が買ってくれたケーキを囲う。
紅茶を淹れようとキッチンに向かう彼の背中にまでくっつきまわって甘え倒した私を、彼が笑う。
ふたりで居られる初めての誕生日は、本当に何気ない一日になったのに。
きっと一生忘れられないんじゃないかってくらい、幸せな気持ちだった。
私の手首には彼がいつも身に着けているものとおそろいの、少し華奢なデザインの腕時計がある。
「永く使えるから、僕も気に入ってるんだ」
永遠の約束をもらったような気持ちだった。
天気だって薄く雲の張った、晴れとも曇りともつかない微妙なもので。
同僚がプレゼントと称して、自社商品のキャンディボックスをくれたり、学生の時からの友人がおめでとうのメッセージをくれていたのにそれどころじゃなくてまだ見れてもいなかったり。
いつもと変わらないどころか、クレーム処理で帰りも遅くなり、どっと疲れた一日だった。
ただ。
私にはもったいないくらいの、出来過ぎな彼が迎えに来てくれて、傍にいてくれる。
おめでとうのキスをくれる。
彼のマンションで、デリバリーで簡単に食事をして、彼が買ってくれたケーキを囲う。
紅茶を淹れようとキッチンに向かう彼の背中にまでくっつきまわって甘え倒した私を、彼が笑う。
ふたりで居られる初めての誕生日は、本当に何気ない一日になったのに。
きっと一生忘れられないんじゃないかってくらい、幸せな気持ちだった。
私の手首には彼がいつも身に着けているものとおそろいの、少し華奢なデザインの腕時計がある。
「永く使えるから、僕も気に入ってるんだ」
永遠の約束をもらったような気持ちだった。