続*もう一度君にキスしたかった
特別なことは、何もない。
当たり前のように彼がそばにいてくれることが、一番の幸せだ。
ベッドの上で、彼はその夜、いつも以上に優しかった。
ブラウスのボタンを外し私の襟元をはだけさせ下着のホックを緩め、露わになった肩に口づけを落としながら、腕を抜く。
腕から手首、掌と唇が辿り、手の指先ひとつひとつに口づけを落とし終え、彼の目が私を捕らえる。
もう幾夜も重ね幾つも朝を迎えているのに、震えるほどに胸が高鳴る。
「誕生日おめでとう、真帆」
そう言いながら私の頬を撫でた彼の指先は、とても愛おしいものを撫でるようで、焦がれるような目で見つめられ、恥ずかしくなって俯いた。
どうしてそんな、大事そうにしてくれるのだろう。
私なんて本当に、どこから見ても平凡で、誇れるものといったらこの気持ちひとつくらいだ。