続*もう一度君にキスしたかった


まだ半分寝惚けていたのだ。
タップしかけてギリギリのところで止まった。


違う、これ朝比奈さんのなんだから勝手に見たらだめだよ!


それに、普通はロックかけてるだろうからタップしたところできっと見れない。


そうは思っても、今のメッセージがどうしても気になって、タップしかけた指が中々引っ込んでくれない。
じっと画面を見ながら、頭の中にはさっきの画面が焼き付いている。


大阪支社の人だ、きっと。
仕事の関係だよ、と思いなおしても、それにしては随分砕けた雰囲気だった、と即座に打ち消されてしまう。


だって支社では朝比奈さんは怖がられ役に徹しているのだから、あんな文面ではあり得ない、気がする。


ぷるぷるぷる、と震える指先と真っ暗の画面を睨み付ける私。


やってはいけないことだとわかっているのに、人はこういう時に魔が差すのだなと身をもって知った。

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