続*もう一度君にキスしたかった
ちゃんと目が覚めたようで何よりである。


「朝食ありがとう、美味かったよ。いってくる」

「いってらっしゃい」

「好きだよ」


唇と瞼にキスをしてから、彼はやっと出かけていった。
スキンシップ過多ともいえるこの朝の風景は、まるで新婚さんのようであるが、私たちはまだ一緒に暮らしているわけじゃない。


ただ、最初はデートの後だけ、と言っていたお泊りが徐々に週末は必ず、になり、今は週の半分くらいは、ここ朝比奈さんのマンションに居る。


なぜって、彼はとにかく忙しい人だし、自炊する余裕も近頃はない。
そこにあの寝起きを目の当たりにすれば、ほっておくこともできなくなった。

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