続*もう一度君にキスしたかった
あんまりにも言うものだから、照れもあってどうしてそんなに何度も言うのかと尋ねたことがある。


「言葉にしないと伝わらないんだと痛感した。以前は、言葉よりも態度で示すことの方が大事だとそう思っていたけどね」


優しく微笑みながらそう答え、抱き寄せてまた「好きだよ」と言い。
私は胸が痛むほどに切なくなって、彼の胸に顔を埋め「私も」と答えた。


これも、彼の後悔の痕なのだ、と。
気付いたあの時から、私は素直にその言葉を受け取り、出来る限り私も伝えるようにしている。


今は多分、加減がわからないから多くなっているのかもしれない。
だとすれば、彼も案外、不器用な人なのだと思った。


とにもかくにも、甘々な蜜月中の私たちだが、彼は今日から三日間の出張だ。
帰るまでが寂しい上に、こういう時に限って仕事は残業も必要ないほど暇だったりする。

< 7 / 166 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop