続*もう一度君にキスしたかった
幕間:夢現
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僕は、夢を見ているのだろうか。
目の前に広がる景色に、酷く焦燥感が煽られる。
もう過ぎ去った出来事の、はず。
肌を刺す凍てつく空気、舞う雪すら痛みを与えてくるような、あの日の夜。
目の前には、僕の顔すら見れない彼女。
「……別れたい。私、無理」
いつのまにか、笑うことが少なくなった。
伊崎と居るときの方が、ずっと楽しそうに笑っていた。
僕に向けられる無理矢理の笑顔よりも、ずっと。
彼女の気持ちを疑ったわけじゃない。
けれどこの先、傍に居られない僕に、離れていくこの指を引き留める資格があるのだろうか。
指先が離れていった時の、途方もない喪失感を今でも覚えている。
すぐに忘れる、そう思っていた。
これまでもそうだった、それほど誰かに執着したことはなかった。
けれど日が経つごとに僕は思い知ることになる。
最後に触れた指先。
降る雪の冷たさ。
愕然と僕を見上げる彼女の口から、白く吐き出されては消える息。
繰り返し見る夢に、忘れるどころか脳裏に焼き付いて離れない。
もう、過ぎた日のことだ。
彼女はこの手に、取り戻したはず。
そのはずだ。
僕は、夢を見ているのだろうか。
目の前に広がる景色に、酷く焦燥感が煽られる。
もう過ぎ去った出来事の、はず。
肌を刺す凍てつく空気、舞う雪すら痛みを与えてくるような、あの日の夜。
目の前には、僕の顔すら見れない彼女。
「……別れたい。私、無理」
いつのまにか、笑うことが少なくなった。
伊崎と居るときの方が、ずっと楽しそうに笑っていた。
僕に向けられる無理矢理の笑顔よりも、ずっと。
彼女の気持ちを疑ったわけじゃない。
けれどこの先、傍に居られない僕に、離れていくこの指を引き留める資格があるのだろうか。
指先が離れていった時の、途方もない喪失感を今でも覚えている。
すぐに忘れる、そう思っていた。
これまでもそうだった、それほど誰かに執着したことはなかった。
けれど日が経つごとに僕は思い知ることになる。
最後に触れた指先。
降る雪の冷たさ。
愕然と僕を見上げる彼女の口から、白く吐き出されては消える息。
繰り返し見る夢に、忘れるどころか脳裏に焼き付いて離れない。
もう、過ぎた日のことだ。
彼女はこの手に、取り戻したはず。
そのはずだ。