続*もう一度君にキスしたかった
それからは、馬車馬のように働いて、休日も休みなく接待や人脈作りに明け暮れた。
店舗数を大幅に手っ取り早く増やすには、地元の有力者とのパイプは絶対に必要だった。
土台の崩れた西日本を立て直すには、途方もない労力費やさなければならないだろう。
波に乗るまで、五年だろうか。十年だろうか。
どんなに忙しくても、ベッドに倒れ込み泥のように眠っても
夢の中の彼女は少しも色褪せない。
さすがにもう、泣いてはいないだろうか。
もしかすれば、もう、伊崎に心を明け渡しただろうか。
想像しては、勝手な嫉妬に囚われて、ぐしゃぐしゃとあたまを掻き乱す。
そういえば僕は、一度でもこんな姿を彼女に見せたことがあっただろうか。
あの頃ただの同僚にすら、嫉妬していたことを。