続*もう一度君にキスしたかった
二日間は何事もなく過ぎて、三日後。
今日、多分朝比奈さんは帰って来る。


多分というのは、前に一日延びたことがあったからだが……今日は出来たら帰ってきて欲しいなあ、と思う。


朝のデスクワークを片付けてパソコンの電源を落とすと、スマホとペンケースなどデスクの上に乗っていたものをざかざかとトートバッグに入れる。


「外出します」


とフロア全体に声をかけた。
定時には上がれそうだな、と頭の中で今日一日の流れをシミュレーション。


今日は、私の誕生日だった。
朝比奈さんが憶えているかどうか、ふたりの会話に上ることはなかったから、忘れてしまっているかもしれない。


私も、言う前に彼の出張の日程が先に決まってしまったので、言いそびれてしまったのだ。

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