続*もう一度君にキスしたかった



倫理的でない感情に囚われて、関東に戻ってくれば


彼女は随分たくましくなっていた。


成長した。
少し痩せたかな。


柔らかな空気が少なくなって、代わりに一本真の通ったような強さが目にあった。


伊崎とは、今も同僚のままなのだろうか、それとも。


だけど、そんなことはどうでも良かった。


目の前に彼女がいる。


以前のように、簡単には触れさせてもらえないけれど


近づこうとすれば、思い切り不審なものを見る目で見られるけれど


冷たくしてくれていい


素っ気なくてもかまわない


怒ってくれてもいいよ


なんでもいいから
傍にいて


真帆、僕は、君が




「朝比奈さん?」


突然名前を呼ばれて、目を開けた。


真っ白の、目に慣れない壁と心配そうに眉を寄せた真帆が視界の中に飛び込んでくる。


「大丈夫ですか? うなされてたから」


一瞬、自分が今どこにいるのかわからなかった。



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