続*もう一度君にキスしたかった
私の言葉に、彼女はちょっと目を見開いた後、にっと意地悪そうな笑みを浮かべた。
「すごい余裕」
「そういうわけじゃ」
「余裕だよ。心配にならない? 私以外に優しくしないでー、とか」
「心配、というか当然モヤっとしますよ。当たり前じゃないですか。木藤さんが『色ボケ紳士』って送って来た時はほんとモヤモヤしましたよ! 朝比奈さんにこんな軽口叩ける人がいるんだって!」
思い出しモヤモヤしてしまい、つい前のめりになる。
彼女は吹き出した後、声を上げて笑った。
「あはははは! あれ見たんだ!」
「たまたま一緒に居た時だったんで。でもまあ、私と居る時が朝比奈さんの全てじゃないことはわかってますし……さっきも言いましたけど、大阪で朝比奈さんがしんどい思いばっかしてるわけじゃないならその方がいいし。
ほんと、優しい人だから。私を気にして、人に優しくできなくなるのは違うじゃないですか。朝比奈さんが朝比奈さんらしくいられるような、彼女でいたいです、私」