続*もう一度君にキスしたかった
三年前、付き合い始めた時は誕生日の後だったし、次の年からはひとりだった。
特に意識なく過ぎていくことに慣れているし、今更必ず祝って欲しいなんて年齢でもない。


ただ、やっぱり朝比奈さんとなら一緒にいたいから、帰りが延びなかったら嬉しい。


廊下に出てエレベーターに向かおうとした時、呼び止められて立ち止まる。


「吉住!」


伊崎が、私の後に続いてオフィスを出て来たのだが、手には何か小さな袋があるだけでビジネスバッグなどは持ってない。
外出というわけではなさそうだ。


「何?」

「今日誕生日だろ。朝比奈さん帰ってこれんの?」

「どうかな、いまのとこ連絡ないから多分」


帰れないなら帰れないで、きっと連絡は入るはずだ。
だけどそれよりも、伊崎が私の誕生日を知ってることに驚いた。

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