続*もう一度君にキスしたかった
「キスして?」
ベッド上で座る彼と立っている私とでは、いつもと違って私が見おろす形になる。
何かせつない目で見上げられれば、断る選択肢はない……と言いたいところだけれど、カーテンの向こうで待機中のふたりを即座に思い出す。
かあ、と一気に顔の熱が上がった。
「ちょ、あの、朝比奈さん?」
「好きだよ」
ふたりがすぐそこにいるんです!
というのを声に出す前に、彼の甘い言葉が続く。
ぐっと腕を掴む手に引き寄せられて、慌てて身体を固くして姿勢を保とうとしたのだが、前屈みになってしまった。
咄嗟に彼の両肩に手を置くと、すぐさま下から小さく啄まれ、唇が温かくなる。
「待ってっ、あのっ、」
多分、カーテンの仕切りで見えてはいないはずだ、ふたりが顔を覗かせていなければ、だが。
しかし、彼はあろうことか角度を変え、尚も深く重ねようと私の首筋を引き寄せる。
重なる寸前で、距離を保とうと彼の肩を押し返しつつ言った。
「木藤さんと笹木さんが来てるんだってば!」