続*もう一度君にキスしたかった
何もなかったかのように話し出した朝比奈さんと笹木さんだけれど、そこに「ぶふっ」と吹き出しながらの揶揄が入った。
もちろん木藤さんだった。
「今更そんな怖い顔したって遅いわよ。ねえ、笹木くん」
「いえ! 朝比奈さんは朝比奈さんですから」
「別に怖い顔なんてしてないよ。これが僕の平常時だから。そうだよね笹木」
「もちろんです!」
ぴん、と伸ばした背筋のままで木藤さんと朝比奈さんに挟まれた笹木さんが、気の毒だけれどなんだか可笑しかった。
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ふたりが帰って静かになった病室で、朝比奈さんがぽつりと呟いた。
「しまったかな」