続*もう一度君にキスしたかった

「……木藤さん、話したんだ」

「はい。多分、気を遣わせちゃったのかも」

「何か言ってた?」

「マネージャーの仕事にはやりがいがあったのは確かだけど、って……踏ん切りは、まだつかない感じでした」


そうか、と彼が小さく呟いてキスが止み、腰に両腕が回される。
斜め後ろからきゅっと抱きしめられると、肩口で彼の溜息を聞いた。


「……朝比奈さんは、木藤さんにマネージャーに戻って欲しいんですか?」

「彼女が、戻りたいならね。まあ、プラス、下心もあった」

「下心?」

「彼女が復帰することで、女性=補佐という古臭い役員の連中の頭の中を濯ぐ足掛かりになればなと思って。女性が安心して仕事に就ける環境づくりに繋がるしね」

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