綺麗な顔をした悪魔
「僕は信じられませんでした。そんなのあんまりじゃないかと思いました。でも事実でした」
「だから、僕は、決めました。だったら、お金を根こそぎ奪い取ってやろうと・・・」
「僕は、両親と両方の祖父母を訴える事にしました。僕という存在が一応この世ありながら、そんな裏切りをする両親は赦せないと思ったので。ついでに、元凶の祖父母も加えて」
「お父さんとお母さんの秘書さんは2人そろって僕に"そんな事をしても誰も幸せにはならない"、"逆にそんな事をしては僕が悪者だと捉えられかねない"と僕を止めました。でも、僕はそんな事はどうでもよかったのです」
「だって、どう考えても僕は被害者だもの。僕にとってこれから必要になるのはお金、だったら奪い取ってしまえばいい。これは、愛をもらえなかった代わりに奪い取ってしまおう、そう考えました」
「結果、僕は多額の賠償金と言う名の養育費をもらう事になりました。今、僕は一人暮らしをしています」
「お父さんとお母さんは僕に謝罪してくれました。そして、僕に子供について何も責めなかった事に対して、"本当にごめんなさい。ありがとう"と言いました」
「僕はその言葉を聞いて、涙が止まりませんでした。ああ、僕は本当に愛されていなかったんだな、そう実感させられました。その会話を聞いていた祖父母は、ことの時初めて罪悪感が沸いてきたらしく、僕に"本当に悪いことをしていまいました。これは許される事ではない。それでも謝らせてほしい、本当にごめんなさい"と言ってくれました」
「今更過ぎるのに、僕はその謝罪が嬉しかった。でも、僕を愛してくれる人は本当に誰もいなかったんだなとも思いました」
「でも、それは大きな間違いでした。僕は、お父さんとお母さんの秘書さんから愛をもらっていました。だって二人は僕に泣きながら、"ごめんなさい、こんな結果になってしまったけど、それでもあなたを愛してる"そう言ってくれました」
「やっと気が付きました。僕が今まで寂しくなかったのは、この二人が僕に本来はもらえるはずの両親からの無償の愛情をそそいでくれていたからだと」
「僕とたくさん遊んでくれて、手作りの料理も作ってくれて、褒めてくれたし、叱ってもくれた・・・僕にはちゃんとお父さんとお母さんがいた」
「ああ、僕は幸せだったんだな・・・とこの瞬間に思いました。僕の為に泣いてくれる人がいる」