霧幻哀歌ー君と過ごした10 DAYSー
「ここは…本当に安政6年の江戸時代なの?!」
土方にしがみ付いて必死の形相で問う柚子に土方等は戸惑いながらも首を縦に振った。
そんな…ここが本当に江戸時代で平成じゃないなんて……私はどうやって生きて行くの?
涙が滲んだその時、雨が降り始めた。
「……くそ、なんでこんな時に。柚子、取り敢えず…って柚子?」
一度空を見上げて再び柚子の方を向いた時、既に柚子の姿はなくなっていた。
「おい、柚子はどこ行ったんだ!?」
「柚子?誰だそれ?」
その後土方がいくら説明をしても、誰も柚子の事を覚えてはいなかった。