【完】恋歌
「…おい。お前達…何をしている?」
低く押し殺した声は、瞬間にしてそこにいる全ての者の動きを封じた。
闇に溶けてしまう程の身なりのせいか、その圧倒的なオーラはとても強く、神々しいモノを感じさせる。
「何をしている…と、聞いている…」
静かに響く声に、冷たい殺気が込められた。
集まっていた村人たちが何かを口にしようとして躊躇う。
ぱくぱくと幾度も口を動かすが、それは空気を取り込むだけで終わった。
そこから、これが禁じられた事だと知っての行動だという事が、明白となっていく。