【完】恋歌
「怒らないで…?そんなに悲しい顔をして…」
彼の声こそ悲しみに沈んでいるというのに。
孤独の影という危機にいつも追い詰められて、全身を蝕んでいく闇。
心の声はどこにも届かない。
言えない言葉たちは深い溜息へと変わり、そのまま鉛のように固まって足元に転がって行った。
眠れない夜。
眠らない街並み。
ずっと止まったままの「今」
きっと、藻掻き苦しんでいる間に、自分でも気付かないくらいただ一つのモノを求めていた…。